殺戮にいたる病 (我孫子武丸)感想
取っ付きやすさ:
トリック:
ストーリー:
年末が近づき、ぼちぼち居酒屋の予約が取りづらくなってきた。例のウイルスにより出歩くのが難しい時期もあったが、最近は活気が出てきたようで普通に席が一杯になってる。おかえり。
今回の殺戮にいたる病については、自分が学生の頃から何度も読んでいる作品で、再読になるが、それでもやっぱり面白い作品だった。すごい。
[show_book_information isbn=9784062937801]
感想(少しネタバレあり)
叙述トリックの傑作として名高く、各所のミステリーランキングでも高い評価をされている本作。
3つの視点で進んでいく物語の緊迫感、また各人物の心理描写が優れている。
特に犯人側の心理描写がエグい。
猟奇殺人事件を起こす人間の思考はおよそ一般読者に理解できるものではないが、理解できないからこそ惹きつけられる魅力があるのも間違いなく、それだけで犯人の思想、行動に興味が湧いてしまう。特に犯人の母親への執着は異質。
加えて、ストーリー上の別視点である母親もだいぶズレた人物となっており、こちらは息子への執着が異質。正直だいぶ気持ち悪い。
3つの視点のうち2つの視点が狂い気味なので物語の雰囲気自体もだいぶ異質なものになっている。
ミステリーとしての見せ場はラストシーンに尽きる。
ストーリーが進むに連れて徐々に追う側が犯人に近づいて行くし、最終的に犯人はしっかり特定される。
ここまでは当たり前だが、恐らくだいたいの読者は本当の犯人に戸惑うはず。あれ、犯人はもう分かったのでは?ならまだ物語が締まらないのは何故だ?
違和感を覚えながら最後のページを読んで衝撃。
「ああ、ああ、何てことなの!ー」
最後の母親の叫びに読者側も
「何が起こった!?」
となる。
読者の想像を気持ちよく裏切ってくれる、間違いない傑作だ。
犯人の特性上エログロの要素が強いので、そこだけは注意。