スイス時計の謎(有栖川有栖)感想

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有栖川有栖著『スイス時計の謎』を読了。

四つの短編を収録した本書だが、なんといっても表題作の「スイス時計の謎」が面白かった。

もうこれを読むだけの為に本書を手にとって良いとさえ思ってしまってしまう位である。

もちろん他作も面白くはあるのだが、「スイス時計の謎」を本書の最後に持ってきているためか、やや印象が薄い感があった。

[show_book_information isbn=9784062753876]

作品紹介

表題作「 スイス時計の謎」では、学生時代の友人サークルのメンバーが記念として揃えて着けている、スイス製の腕時計がキーアイテムとなっている。

その内の一人が殺害されることでメンバーに疑いが懸かるわけだが、その殺害現場に残る重要な証拠として挙げられたのが時計だったのだ。だから「スイス時計の謎」。タイトル付けは至ってシンプルである。

感想(少しネタバレあり)

この作品は推理が美しいと思う。

一つ一つ状況を整理し「犯人ならここはこうするだろう、だからそうする必要がないであろうあなたは犯人からはずれる」というような逆説から犯人を絞っていき最終的に一人を導きだす推理シーンはなかなか見応えがある。

また、読者を置き去りにすることのないよう、丁寧に書かれているのが好印象だ。

それまでの事実を見れば、無理にこじつけた感もなく、頷きながら推理シーンを読むことができるだろう。

最後に。少し話がそれるが、「スイス時計の謎」のラストシーンでは、過ちを犯した事で、犯罪者となった男が友人サークルを脱退する様子が描かれている。一つの事件がこれから先の関係も断ってしまった訳だ。実にもったいない。

幸いな事に自分は学生時代の友人との付き合いはまだあるので、それを守っていく為にも道を踏み外さないよう生きたいと思う。