泡坂妻夫

湖底のまつり(泡坂妻夫)感想

作品紹介 1978年に刊行された歴史ある本作は、村祭りや住民運動と、1988年生まれの自分であっても想像付かない要素が盛り込まれており、同じようにこういった時代や土地を知らない人にはこの要素だけでも興味深いだろう。 いろんな作家からとても評価されている名作で、華麗な騙し絵なんて言われている。 感想(少しネタバレあり) 紹介で「華麗な騙し絵」と評されているとおり、いろいろな意味で読者の想像を超えてくる作品。 まず、祭の様子や川の流れ、舞台となった千字村の情景が浮かんでくるような、丁寧な描写が印象的。 おどろおどろしい雰囲気になりがちなミステリというジャンルで、透き通るように美しい村が描かれているのが何とも対比的で面白い。 だいたいこの手の村が出てくる黒い部分が強調される気がするが。 ミステリの肝であるトリックもまた美しい。 決して派手でなく、誰もが驚く仕掛けではないのかも知れないが、それでも自分は作品を最後まで読んだときにその必然性に驚かずにはいられないかった。 本当に物語の結末とキレイに繋がるのだ。無駄がない。 …とこれ以上は控えておくが、
やまぐろ

11枚のとらんぷ(泡坂妻夫)感想

最近涼しくなってきて、秋を感じるようになってきた。 てか、週末に雨固めるのやめれ。 雨続きで家から出づらいので、今日もミステリの名著を。 作品紹介 「蔭桔梗」で直木賞を受賞している泡坂妻夫の長編ミステリ第一作目が本作11枚のとらんぷ。 著者のミステリ作品の中でもとりわけ評価が高い今作は、マジックショーの裏側で起きた殺人事件を著者ならではの緻密さでえがいている。 実は著者はミステリ小説家でありながら奇術師(マジシャン)であり、しかもマジシャンとしての著書もあるというなかなか珍しい作家となっている。 というか唯一無二では。 11枚のとらんぷは、そんな著者のマジック知識が存分に発揮されており、とても興味深い一冊となっている。 感想(少しネタバレあり) 著者の趣味が前面に押し出されていながら、読者がそのマニアックな知識に辟易することなく読むことができる絶妙なバランスに加え、本格ミステリの醍醐味もしっかり味わえる作品。 うん、面白い。 なにより作中の登場人物たちがラストまでマジックに取り憑かれているのがいい。 読んでる自分もそうだけれど、キ
やまぐろ