法月綸太郎

密閉教室(法月綸太郎)感想

作品紹介 タイトルに教室ついているとおり、ある学校で起きた生徒の怪死をその同級生である工藤順也を通して追っていくストーリーてい。作中のキャラクタ達からも、法月綸太郎の処女作という所からも年齢相応の勢いを感じられる作品で、推理小説としては比較的読みやすい作品であると思う。 すごい話が飛ぶけど、高校までの教室は教室感あったけど、大学は全然そんなことないよね。不思議だね。そもそも自分の教室とかないし、そりゃあそうなのかもだけど。 感想(少しネタバレあり) 個人的に良かった点を挙げるなら、この作品のメインとも言える「教室から消えた机と椅子の謎」のロジックだろう。わざわざ1クラス分の机と椅子を他の場所に移動した理由は最後まで読めば納得できるし、同時に良くこんなに大がかりな事を考えついたなあと感嘆。 しかし、事件の犯人が二転三転したせいか、見事な真相隠しが読者の意識から離れてしまう感があるのがやや残念。また、人死にの犯人自体とトリックの創造者が別になっている点も気になる。 欲を言えば、一つの事件が起きてから解決に向かうまで一人の人物の意志によって完遂させて欲しかった。どう
やまぐろ

誰彼(法月綸太郎)感想

作品紹介 著者の前作である「雪密室」から続く、小説家法月綸太郎シリーズの続編がこの『誰彼』だ。 本作は、表題が示す通り「誰が」という点にスポットを当てて描かれており、密室殺人の解に拘った前作とは毛色が違う作品になっている。 感想(少しネタバレあり) この作品の面白さはジェットコースターさながらのストーリー展開にあると思う。 状況が目まぐるしく変化していくため、その都度探偵役の法月綸太郎が混迷し、当然読者も一緒に振り回される形になる。なかなか事件の真相が見えて来なく、常に先のページが気になる展開であるので、読者はいつの間にかストーリーに没入してしまう。 ただ人によっては、この作品にある変化の多さをやり過ぎだと感じてしまうかも知れない。どうしても繰り返し変化が起きると、人は飽きたり疲れたりしてしまいがちだ。 ジェットコースターを例にあげよう。ジェットコースターというのは乗っている間は楽しいアトラクションであるが、何度も繰り返して乗りたくはない乗り物ではないだろうか。 それは度重なる変化に、それまで面白いと感じていた身体が、変化に慣れてしまう事が原因であると
やまぐろ

頼子のために(法月綸太郎)感想

法月綸太郎著『頼子のために』を読了。 自分は小説家法月綸太郎シリーズを順序よく読んできているが、この『頼子のために』は、過去作と比べるとだいぶ読ませる内容になっているという印象を受けた。 この「トリック凄いなあ」というより、純粋に「面白い」といえるミステリー小説になっていると印象を受けたし、恐らく多くの人が同じように感じるのでは?と思っている。 作品紹介 著者自身の名を冠する法月綸太郎シリーズの第3作目の作品で、シリーズ最高傑作と名高い作品である。 シリーズものではあるが、このシリーズの前の作品である「雪密室 」「誰彼 」を読まなくても楽しめるので、本作が気になった方は此処から読んでも問題ないと思う。 割と作品全体の空気感が重いので、ある程度の心の準備があったほうが良いかも、という側面もあり。 感想(少しネタバレあり) ストーリーに凝っているぶん、ラストシーンで明かされる事実が結構な破壊力がとんでもない。 事故が原因で体が不自由になった妻、事故の引き金となった人物を恨み続けて生きてきた夫、若くして殺害されてしまった娘。結局のところ、誰一人として相
やまぐろ