龍神の雨(道尾秀介)感想
感想(少しネタバレあり)
実を言うと、代表作『向日葵の咲かない夏』を読んだとき、面白さよりも気持ち悪さが上回ってしまい、以来道尾秀介の作品には悪いイメージが付いてしまっていた。
一度定着した印象というものは悪いものほど中々拭い去る事ができず、結局「向日葵の咲かない夏」を読んでから著者の他作を手に取るまで早数年経ってしまった訳である。
しかし本作に込められたメッセージもあって、これまで代表作しか手にとっていないのにも関わらず「この人の作品は自分に合わない」と勝手に憶測していたことを少し反省することとなった。
「龍神の雨」は純粋に面白いし、テーマもしっかりしている作品だったからだ。
道尾秀介は、この作品のテーマとして運命を、モチーフとして龍を用いている。巻末の解説によれば、インタビューでこう答えているそうだ。
運命というのは、誰もその姿を実際に見たことはなく、巨大で荒々しい。それが龍というものによく似ていると気づいたとき、龍をモチーフに使おうと考えたんです。
人が創り出した想像上の生き物である龍と、人の運命が似ていると。独特な考えかも知れないが、本作を読み終えた