小説

封印再度(森博嗣)感想

大学助教授の犀川と学生の萌絵が事件の真相に迫る通称S&Mシリーズの5作目。封印再度(英語表記はwho inside)というなんだかマキシマムザホルモンみたいな言葉遊びをしているタイトルだが、蓋を開けてみれば本格ミステリ。満足感の高い密室が味わえた。 一部都合が良すぎると感じる部分(純粋すぎるにしても、こんな冷静になれる子どもはいないだろう……)もあったものの、メイントリックは良く出来ていて面白いし、作中のドラマも面白い。風習ネタが好きな自分にはストライク。表題も作品を読み終えてみると、日本語表記、英語表記共に納得。プロ作家の文章力すげえってなるし、ストーリー構成すげえってなる。 娯楽としての満足度が高く、個人的には高く評価したい一冊。 封印再度 (講談社文庫) [ 森 博嗣 ] ショップ: 楽天ブックス ¥1,100 ※価格やショップ情報は楽天のものです 楽天で見る Amazonで探す
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悪魔が来たりて笛を吹く(横溝正史)感想

日本一有名な探偵キャラクタ金田一耕介が事件の真相を暴く、本格派ミステリーシリーズの内の一冊。 一本のフルートが作品をおどろおどろしい雰囲気で覆い、意志を語り、終わりを告げる。悪魔が来たりて笛を吹くというタイトルからして、作中において笛が重要な役割を持つことは想像するに易いが、まさかこれまでとは。 道具の使い方が面白く、ラストで明かされる楽曲「悪魔が来たりて笛を吹く」の秘密は必見。 シリーズものではあるが、順番を気にせずとも読めるように書かれているので「頭から読むのは大変だから」と敬遠する必要なし。だいぶ昔の作品ではあるが、言葉の言い回しから古くささや堅さは感じないので、若い人でも入りやすく充分楽しめるはず。 【中古】金田一耕助ファイル(4)−悪魔が来たりて笛を吹く− / 横溝正史 (文庫) ショップ: ネットオフ 送料がお得店 ¥375 ※価格やショップ情報は楽天のものです 楽天で見る Amazonで探す
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ダリの繭(有栖川有栖)感想

キャラクタ同士の軽快な掛け合いが楽しい本格ミステリー。 ダリ髭がトレードマークの有名な社長が、髭を剃られた状態で殺害され物語が展開していくなかなかシュールな出だしではあるが、中身はしっかり本格もの。何故ヒゲを剃られていたのか、もそうだが、他の謎解きもお見事。 名推理に加え、この作品は何故殺人事件が起きたのかという点が掘り下げられていて良い。頭の中で人物相関図を作りながら読むときっと楽しめると思う。 ラストシーンが印象的なので、是非。 ダリの繭 (角川文庫) [ 有栖川 有栖 ] ショップ: 楽天ブックス ¥836 ※価格やショップ情報は楽天のものです 楽天で見る Amazonで探す
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花の鎖(湊かなえ)感想

複数の視点で登場人物たちの繋がりを描いた青春系ミステリー。 「雪月花」を一文字ずつ冠したキャラクタの関係が終章に向かうに連れ徐々に明らかになってくる構成となっており、最終章でがっちりとストーリーが繋がると表題『花の鎖』の意味も分かるはず。 個人的には、驚きを味わうより、作中の風景やキャラクタたちのやりとりを味わって欲しい。もっと言えば、いっそミステリーという単語を頭から消して青春小説として読んで欲しい一冊。 読後、誰かと食事をしたり旅に出たりしたくなること請け合い。 花の鎖【電子書籍】[ 湊かなえ ] ショップ: 楽天Kobo電子書籍ストア ¥730 ※価格やショップ情報は楽天のものです 楽天で見る Amazonで探す
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月光ゲーム Yの悲劇'88(有栖川有栖)感想

登場人物がめっちゃ多いクローズドサークル。著者の学生アリスシリーズ一作目。すごく読みやすいんだけど、登場人物を把握するのが大変でページを進んだり戻ったりする羽目に。。 まあでも面白いのは間違いない。 感想(少しネタバレあり) この『月光ゲーム』はとにかく各キャラクタの事件に対する意見がよく飛び交い、読者の持っている考えを二転三転させてくれたように思う。 主人公が所属する推理研究会のメンバーたちは海外の大物作家が用いたロジックを引用して語ったりするわ、やたら詳細なミステリ談義もするわで、とにかく説得力が強いメンバーたち。 今作では他の大学と一緒に事件に巻き込まれているので、その手のネタには詳しくない人物が寧ろ多いのだが、臆すること無く自分の意見をぶつけていていく。 様々な角度から推理が行われ、これがエキサイティングで面白い。 誰の考察においてもある程度納得してしまう部分があるので、読者の考えも行ったりきたりしてしまうわけだ。 10人を超える大人数で和気藹々と、それこそ学生らしい楽しみ方をしていた彼らに起きる悲劇。 小説として面白いのはもちろんのこと、
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殺しの双曲線(西村京太郎)感想

2つの事件が並行で語られていく作品。読んでいるうちに、双方がどう交わっていくのかと先が気になってしまう。 2つの事件で描かれ方が異なる(雰囲気的な)のも面白い。 しょっぱなでメイントリックを著者自ら明かしているのも作品に対する自信の表れに違いない。 新装版 殺しの双曲線 (講談社文庫) [ 西村 京太郎 ] ショップ: 楽天ブックス ¥968 ※価格やショップ情報は楽天のものです 楽天で見る Amazonで探す
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本陣殺人事件(横溝正史)感想

和室での密室事件という難しいことをやってのけた作品。 この作品には表題作の他に「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の二作を収録しており、三作品併せてのページ数は大体400pほど。 その中の約半分ほどが「本陣殺人事件」である。 感想(少しネタバレあり) この本陣殺人事件は、舞台となっている本陣の末裔の屋敷、屋敷にある日本特有のアイテム、そして犯行の動機まで一貫して日本らしさが現われている作品だと思う。 この作品の面白さはなんと言っても日本家屋特有のアイテムを駆使したトリックにある。 いくつもの道具を何重に張り巡らせて出来上がった仕掛け、これを一つ一つデモンストレーションしながら解いていくシーンは、目の前で解答を提示された登場人物たちと同様に読者も唖然とするに違いない。 著者の密室殺人に対するこだわりがひしひしと感じられる印象的な場面であった。 またこの事件の犯人は、非常に細かい配慮のもと、わざわざ仕掛けの実験まで行った上で犯行に及んでいる。 この犯人の人となりが、本作では非常に良く描かれていたと思う。 緻密に計算されたこの事件は、犯人が驚くほど切れ
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