岡嶋二人

99%の誘拐(岡嶋二人)感想

岡嶋二人著『99%の誘拐』を読了。 「コンピューターを駆使して誘拐事件をコントロールする」という一風変わったテーマで進行するストーリーは軽快で読みやすく、純粋に娯楽小説として面白いものになっている。 岡嶋二人らしいアイデアと展開力が光る作品だ。 作品紹介 あらすじに触れよう。ストーリーの肝となるのは、表題通り誘拐事件。 とある企業のお偉いさんの孫が誘拐され、身代金と引き換えに孫は返す、という一見ありがちなシチュエーションの誘拐事件である。 しかし、犯人の要求が特殊で、現金をダイヤモンドに変えて差し出せと言うのだ。何故ダイヤモンドなのか。 理由は分からないが、とにかくダイヤモンドを犯人の指定した場所へ運ばなければ、子どもは返って来ないので、奇妙に思いながらも関係者たちは犯人の要求通りに動くこととなる。 そしてこの事件に巻き込まれるうちに、ある関係者の脳に過去の映像が浮かびあがる。そう、過去にも同じような誘拐事件が起こっているのだ。……と、あらすじはこんな感じだ。 感想(少しネタバレあり) この作品の見るべき点は、何故この誘拐事件が起こったのか、
やまぐろ

クラインの壺(岡嶋二人)感想

作品紹介 この作品を短く紹介するならば”バーチャルリアリティという刊行当時(1989年)は認知度が低かったSF要素を取り入れつつ、ミステリとしての完成度も随一である意欲作”というところだろう。 主人公が出版社宛に「ゲームブック」のシナリオを投稿したところ、「イプシロン・プロジェクト」というバーチャルゲームの制作会社から思わぬオファーを受けたことから本作は展開されていく。 大学4年生、働き口なし!という状況の主人公は喜々としてその話に乗り、結果としてバーチャルゲームの原作者兼テスターとして採用されることに。 プレイヤーとしてバーチャルゲームの再現性の高さを目の当たりにした青年は、次第にそのプロジェクトに心を奪われてゆくこととなる。 ところが、同じくテスターとしてプロジェクトに参加していた少女が突然失踪する所から物語は一気に暗転。主人公は「イプシロン・プロジェクト」に疑問を抱くようになり……これがストーリーの概要である。 感想(少しネタバレあり) 設定自体が当時としては斬新で楽しめるものになっており、今読んでもちゃんと面白い。 1989年という時代は現在の
やまぐろ

そして扉が閉ざされた(岡嶋二人)感想

12月になり一気に寒くなってきた。今年の冬は例年より寒いらしいと言われていたが、ほんとにその通りとなってしまった。 3年ぶりに毛布を引っ張り出してきた。頼るまでもないと思っていただけに、ちょっとくやしい。 作品紹介 目が醒めると、そこは密室だった……という理不尽な状況で始まりまる今作。集められた四人は、互いに面識のある男女。 何故こんなことになったのか?という推考から始まり、それが過去に起きた共通の友人の死に繋がり、その不可解な死の推考が始まる。 と、ストーリーはざっとこんな感じ。刊行が1987年なので、だいたい35歳くらいの世代。 感想(少しネタバレあり) 登場する人物たちがかなりの曲者揃いで、思わず「こいつもう黙れよ」と思う事もありつつ、最後まで読めば良い作品だった。 評価されているのは、やはりストーリーにあるのかと思う。 面白いと思ったのは、登場人物は密室状態にいるのに、解明すべき事件自体は密室状態では無く、しかしながら、密室の醍醐味の一つである「疑心暗鬼」が上手く描かれている点。 こうなったのは誰のせい?と周囲に敵意を向けながらも、密
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