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赤い森(折原一)感想

折原一著『赤い森』を読了した。この人の作品は雰囲気が独特でなんとも言えない狂気を感じるが、でこれも例に漏れず。森の中に佇む曰く付きの山荘を舞台にした、いかにもホラーな雰囲気は夏休みにうってつけだ。今はゴリゴリの冬だが。 作品紹介 著者の「樹海シリーズ」と呼ばれる作品群に新たに書き下ろした「赤い森」を加えた三部構成となっている。折原一はかなりハイペース且つ多くの作品を生み出しているが、その中でも比較的新しめの作品。 著者の作家でデビューが1988年とのことで、自分が生まれた時から作家として活動しづつけている。35年。すごい。 感想(少しネタバレあり) 折原一と言えば叙述トリック。しかし残念だが、本作においては、自分の予想を超えてくる面白さはなかったというのが正直な感想。 しかしながら章を追う毎に真相が分からなくなってくる、読者の不安を煽る構成は秀逸であり、著者らしい暗く歪な世界観を存分に味わえる作品だろう。 面白いか面白くないかで言うなら、面白い作品であると思うが、折原一の作品としての物足り感はやっぱり否めないか……という印象。 赤い
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モルグ街の殺人事件(エドガー・アラン・ポー)感想

史上初の推理小説として著名である、エドガー・アラン・ポー著『モルグ街の殺人事件』を読了。物語の真相にはかなり呆気をとられたが、それまでの推理シーンにはこだわりを感じたし(人物の素性などは細かく描かず、ひたすら事件の解明に焦点を当てている)、面白く読める作品だった。 作品紹介 先に述べてしまったけど、史上初のミステリ作品とされており、また史上初の密室殺人トリックを利用した作品として知られている。まさに原点として頂点。 そう言えばポケモンのサトシシリーズ終わるらしいけど、ピカチュウ今レベルいくつなんだろう。金銀のレッドは80だった気がするけれど。 感想(少しネタバレあり) 現代でこそ、この作品の真相は「そんなのあり!?」となるところだろうが、現場に残っている証拠から真相を導き出し、読者に驚きを与える結末が用意されているのは現代の推理小説と同じである。 1841年から現代まで様々な形で進化を遂げてきた、推理小説というジャンルの基盤を作り上げた彼の功績は計り知れない。ありがとうポー! ちょっと話が逸れるが、これだけ歴史のある作品を紙でなく、電子書籍で読めるのは結
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長い廊下がある家(有栖川有栖)感想

有栖川有栖の短編集『長い廊下がある家』を読了。短編集だし、ちょっとづつ読み進めていこうと思っていたが、結局購入当日に読み切ってしまった。なんだか勿体ない気もするが、それも面白い作品だったということで。 作品紹介 表題作の「長い廊下がある家」に加えて「雪と金婚式」「天空の眼」「ロジカル・デスゲーム」の計4作品を収録した短編集になっている。 表題作に加え、他作品もなかなかバラエティ豊かな印象となっており、どの作品も楽しい謎解きが見られるは同じ。どれか一つは受けるはずだ。 感想(少しネタバレあり) 全体的に完成度が高く、なかなか面白い作品が集められているという感想。 表題作の「長い廊下がある家」もなかなか大胆なトリックが使われていて面白いし、他の作品も楽しめるが、その中でも個人的に好きなのは一番最後に収録されている「ロジカル・デスゲーム」。 相当短い尺の作品ながら、ゲームに負ければ死ぬというスリリングさと、ゲームの提案者が見せた人間くささはインパクト大。これは一読の価値ありだ。 何というか、安心して読めると短編集だと思う。 長い廊下が
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ゼロの焦点(松本清張)感想

感想(少しネタバレあり) 戦後初期を舞台にしており、当時の雰囲気を感じさせてくれる作品。 『点と線』では政治的な暗い背景のもと事件が起きたが、社会派と称する、されるだけあり今作も同様に時代的背景を組んだ作品になっているように思う。 『ゼロの焦点』では女性視点でストーリーが展開されるが、この女性の心理描写が細かく面白かった。 登場人物の過去が影響している訳で、一概にこの時代の~とは言えないのかも知れないが、本作の女性たちは一様に自信を持っているように見えとても力強く映り、当時を知らない自分に”戦後間もない日本の女性たちは意志が強かった”という印象を植え付けるほど。 しかし力強さの裏には、自身の立場を守ることへの焦燥も垣間見る事ができ、この”自信”と”不安や焦り”の危うい心のバランスが本作の見所であり面白さであると思う。 言ってしまうと自分の祖父が好きだった著者の作品なので、昭和と平成のはざま世代の自分に取ってはかなり古い作品になってしまうのだけれど、名作は時代も超えるもの。 今の時代に読んでもしっかり面白い作品だった。 ゼロの焦点改版 (
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【ゆく年くる年】2022年の振り返りと2023年の展望

2022年が終わり、2023年がやってきました。 去年を振り返ると、ここ数年猛威を振るっているコロナウイルスとある程度共存できるようになったのが大きい気がしています。  仕事の部分ではリモートワークが一般化したことによって、仕事の状況を見て出社とリモートワークが切り替えられるという柔軟なワークスタイルが確立されました。 ケガの功名と言うには余りにも社会に与えたダメージは大きいですが、働き方を大きく変えたのは事実だと思います。 さて、ここからは自分自身の語りとなります。 2022年のできごと このブログが開設一年を迎え、それに合わせてぼちぼち収益化を始めました。正直なところ収益はほぼないものの、もうすぐサーバー代くらいは回収できる位にはなりました。 サーバー代でいうと、一年間を超えたあたりでサーバーのレスポンスが悪くなってきたので、amazon lightsailのプランを3.5ドルから5.0のプランに引き上げました。 少し運用費は上がってしまったものの、期待通りレスポンスは改善されたので満足していま
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クラインの壺(岡嶋二人)感想

作品紹介 この作品を短く紹介するならば”バーチャルリアリティという刊行当時(1989年)は認知度が低かったSF要素を取り入れつつ、ミステリとしての完成度も随一である意欲作”というところだろう。 主人公が出版社宛に「ゲームブック」のシナリオを投稿したところ、「イプシロン・プロジェクト」というバーチャルゲームの制作会社から思わぬオファーを受けたことから本作は展開されていく。 大学4年生、働き口なし!という状況の主人公は喜々としてその話に乗り、結果としてバーチャルゲームの原作者兼テスターとして採用されることに。 プレイヤーとしてバーチャルゲームの再現性の高さを目の当たりにした青年は、次第にそのプロジェクトに心を奪われてゆくこととなる。 ところが、同じくテスターとしてプロジェクトに参加していた少女が突然失踪する所から物語は一気に暗転。主人公は「イプシロン・プロジェクト」に疑問を抱くようになり……これがストーリーの概要である。 感想(少しネタバレあり) 設定自体が当時としては斬新で楽しめるものになっており、今読んでもちゃんと面白い。 1989年という時代は現在の
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【比較あり】WEBフォントをサブセット化してページを高速化!

遂に年末年始休暇に入りました。とりあえず平和に休みを迎えることはできたけども、運用やっているエンジニアはまだ仕事しているんだよなって思うと少し複雑だったりする。まあ休みが合わないだけで休日の数は変わらんけども。 今回はいままで結構気になっていたフォントファイルのサイズをできる限り縮小しようと思い、サブセット化するに至ったので、効果とかざっくりとした方法を書いていきたい。 フォントのサブセット化手順 まず先にざっくりとした手順を。 * フォントファイルの取得 * フォントのサブセット化 * フォントファイルのコンバート(→.woff2形式) * Webサイトへの適用 一応今回はWebサイトへの適用までを手順にすることにしました。何となくこういうのって一番難しいのが環境への反映だったりすると思うので。 また、以下のツールを利用するので、事前にインストールしておくのをおすすめ。 * サブセットフォントメーカー:株式会社武蔵システム →フォントのサブセット化に利用 * WOFFコンバータ:株式会社武蔵シス
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