小説

99%の誘拐(岡嶋二人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 岡嶋二人著『99%の誘拐』を読了。 「コンピューターを駆使して誘拐事件をコントロールする」という一風変わったテーマで進行するストーリーは軽快で読みやすく、純粋に娯楽小説として面白いものになっている。 岡嶋二人らしいアイデアと展開力が光る作品だ。 [show_book_information isbn=9784062747875] 作品紹介 あらすじに触れよう。ストーリーの肝となるのは、表題通り誘拐事件。 とある企業のお偉いさんの孫が誘拐され、身代金と引き換えに孫は返す、という一見ありがちなシチュエーションの誘拐事件である。 しかし、犯人の要求が特殊で、現金をダイヤモンドに変えて差し出せと言うのだ。何故ダイヤモンドなのか。 理由は分からないが、とにかくダイヤモンドを犯人の指定した場所へ運ばなければ、子どもは返って来ないので、奇妙に思いながらも関係者たちは犯人の要求通りに動くこととなる。 そしてこの事件に巻き込まれるうちに、ある関係者の脳に過去
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スイス時計の謎(有栖川有栖)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 有栖川有栖著『スイス時計の謎』を読了。 四つの短編を収録した本書だが、なんといっても表題作の「スイス時計の謎」が面白かった。 もうこれを読むだけの為に本書を手にとって良いとさえ思ってしまってしまう位である。 もちろん他作も面白くはあるのだが、「スイス時計の謎」を本書の最後に持ってきているためか、やや印象が薄い感があった。 [show_book_information isbn=9784062753876] 作品紹介 表題作「 スイス時計の謎」では、学生時代の友人サークルのメンバーが記念として揃えて着けている、スイス製の腕時計がキーアイテムとなっている。 その内の一人が殺害されることでメンバーに疑いが懸かるわけだが、その殺害現場に残る重要な証拠として挙げられたのが時計だったのだ。だから「スイス時計の謎」。タイトル付けは至ってシンプルである。 感想(少しネタバレあり) この作品は推理が美しいと思う。 一つ一つ状況を整理し「犯人ならこ
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迷宮遡行(貫井徳郎)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 貫井徳郎著『迷宮遡行』を読了。 どうやら著者の過去作である「烙印」を大幅に書き直したものが本作であるよう。 ただ、実を言うと、この作品を読み終えて、法月綸太郎の解説を読んでその事実を知ったくらいなので、「烙印」は未読だったりする。まあそういう経緯があるということで。 解説に「烙印」と「迷宮遡行」の違いなんかが書いてあったのでそのうち読んでみたいとは思っているが、本音を言えば、出来れば先に読んでおきたかったなあと。 [show_book_information isbn=9784022650351] 作品紹介 妻が突然居なくなったので探し回ってたら、なんだか危険な闘争に巻き込まれていた。 …という非常に分かり易いストーリー運びの本作。 失業して奥さんに逃げられてなんて踏んだり蹴ったりな状況にある主人公迫水。 そんな状況にあるクセにマイペースを崩さない謎のメンタルを誇る彼は、なんと警察さんのエリートの兄を持っていたりする。 しかも、彼
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どんどん橋、落ちた(綾辻行人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 綾辻行人著『どんどん橋、落ちた』を読了。 短編集ではあれど、どの作品のかなり楽しめ、本当の意味で娯楽という感じの作品だった。 [show_book_information isbn=9784062935517] 作品紹介 『どんどん橋、落ちた』は、収録されてる5作中4つの作品において、「作者からの挑戦」が入るフーダニット作品集になっている。 一番最後に収録されている「意外な犯人」こそやや毛色が違うものの、一貫して「犯人は誰か」焦点を当てている。ゲーム感覚で読める楽しい作品だ。 感想(少しネタバレあり) 本格派ミステリを手軽に楽しめる一冊という印象。どの作品においても筋が通った推理、予想外の事実があり、短い作品ながら充分に面白く読めるはず。 個人的に好きなのは、表題作の「どんどん橋、落ちた」のような、思わず笑ってしまうような作品群の中で、唯一「ワラエナイ」結末を迎える「伊園家の崩壊」。 他の作品は推理に必要な情報以外は必要最低限で書かれてい
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頼子のために(法月綸太郎)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 法月綸太郎著『頼子のために』を読了。 自分は小説家法月綸太郎シリーズを順序よく読んできているが、この『頼子のために』は、過去作と比べるとだいぶ読ませる内容になっているという印象を受けた。 この「トリック凄いなあ」というより、純粋に「面白い」といえるミステリー小説になっていると印象を受けたし、恐らく多くの人が同じように感じるのでは?と思っている。 [show_book_information isbn=9784062938112] 作品紹介 著者自身の名を冠する法月綸太郎シリーズの第3作目の作品で、シリーズ最高傑作と名高い作品である。 シリーズものではあるが、このシリーズの前の作品である「雪密室 」「誰彼 」を読まなくても楽しめるので、本作が気になった方は此処から読んでも問題ないと思う。 割と作品全体の空気感が重いので、ある程度の心の準備があったほうが良いかも、という側面もあり。 感想(少しネタバレあり) ストーリーに凝っているぶん、ラスト
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魍魎の匣(京極夏彦)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 京極夏彦著『魍魎の匣』を読了。上中下巻併せて1000Pを超えるボリュームで語られる本作は、全体的に和風で妖しげな雰囲気を放っており、個人的にはかなり好みのテイストだった。 [show_book_information isbn=9784062646673] 作品紹介 本作品「魍魎の匣」(もうりょうのはこ)は、京極夏彦の百鬼夜行シリーズの第2弾であり、第49回日本推理作家協会賞の受賞作品となっている。 メディアミックス作品が多い作品であり、映画化、アニメ化もしている人気作品だ。 シリーズの主人公が営む古本屋の屋号から、京極堂シリーズとも呼ばれているので、人によってはこっちの方が馴染みあるかも知れない。 感想(少しネタバレあり) 本作は、とにかくストーリーの運び方が絶妙だと思う。序盤は淡々と語られていき、ゆっくりと時間をかけて読者を作品に引き込んでゆく。 序盤で、特に印象に残ったのは、物語が始まる鍵となった二人の少女の心理描写が細かく描かれている点。同
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十角館の殺人(綾辻行人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: 1987年に出版された綾辻行人氏の処女作。この「十角館の殺人」はミステリファンの中でも極めて人気であり、処女作ながら綾辻氏の代表的な作品となっている。 Anotherなどのメディアミックス作品もあるので、知っている人は多い作家の一人かと思う。 [show_book_information isbn=9784062758574] 作品紹介 本作の舞台は、角島と呼ばれる無人島だ。とは言ってもつい半年前までは人が住んでおり、殺人事件が起きた事で無人となってしまったのである。 そんな事件が起こったことを知りつつ、興味本位でその無人島に建てられた「十角館」へ。大学生の推理小説研究会のメンバーが赴くところからストーリーが始まる。 クローズド・サークルが好きな人なら、ここまでで興味が湧くはず! 感想(少しネタバレあり) 読後の感想を一言で言うなら「面白い」。本当に面白かった。500pを超える長編でありながら、ある種長編のデメリットになりうる、まどろっこしさを全く
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