黒いトランク(鮎川哲也)感想

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作品紹介

りら荘事件の著者である鮎川哲也の長編作品の一つ。

アリバイ崩しが得意な鬼貫警部を主人公としたシリーズ作品となっている。

自分はよく作品を選ぶ際に東西ミステリーベスト100(2013年刊行)という書籍を参考にしていて、そこの国内編ランキングで11/102位。名作や!

書籍情報

           
タイトル黒いトランク
著者鮎川哲也
出版社東京創元社
発売日2002年01月
商品説明鮎川哲也の戦後本格の出発点となった里程標的名作。綿密な校訂と著者の加筆訂正による決定版。
画像

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感想(少しネタバレあり)

著者の代表作「りら荘事件』を読んだ際に見事なハウダニットに感嘆したものだが、この『黒いトランク』も同様にどのように犯行が行われたかに焦点を当てた作品になっている。

読者が混乱すること必須の複雑さの上に成り立った事件の真相は思わず「すげぇ…!」と呟いてしまうくらい。

この作品の肝は表題にある二つの黒いトランクの入れ替わりにあるのだが、このトランクの動きが本当に複雑だ。

当然の如く、真相は一つしかないし、終わってみれば些細な盲点を突いただけと言えるのかも知れない。

しかし、捜査のプロである鬼貫警部の目を綺麗に欺いた犯人が生み出したアリバイは容易には崩れないし、どんな些細な盲点でもそこに辿り着くまでには膨大な情報が要るのだ。

このアリバイ崩しの過程の読み応えが凄い。

鬼貫警部自身も散々捜査の為に各地に飛んだり、古い友人に嫌疑をかけたりと嫌な役割をしていたりしたが、決して折れはせず事件の解明に尽くした。

そんな鬼貫警部のアグレッシブな姿勢は純粋に格好いいし、また、その努力をしっかり実らせる推理力には嘆息する他ない。

鬼貫警部のキャラクタに惹かれ、事件の真相に驚く。

そして何より驚くところは、こんな複雑な事件を綺麗に完結させた著者自身の筆力であるのは言うまでもないだろう。

二つの黒いトランクは、いつどこで入れ替わったか。

その真相を是非確かめてみて欲しい。全てが繋がる気持ちよさを、誰もが味わえる作品だと思う。

やまぐろ
システムエンジニア
SESで業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。
当サイトでは読書記録を残したり、ガジェットのレビューをしたりしています。
たまにエンジニアっぽい記事を書いたりすることも。
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