やまぐろ

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業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。 ブログでは読書記録を残したり、ガジェットのレビューをしたり、エンジニアっぽくプログラムの話や業界の話をしたりしています。 他にも個人開発者として、自作ツール、自作WEBサービスを公開中です。

頼子のために(法月綸太郎)感想

法月綸太郎著『頼子のために』を読了。 自分は小説家法月綸太郎シリーズを順序よく読んできているが、この『頼子のために』は、過去作と比べるとだいぶ読ませる内容になっているという印象を受けた。 この「トリック凄いなあ」というより、純粋に「面白い」といえるミステリー小説になっていると印象を受けたし、恐らく多くの人が同じように感じるのでは?と思っている。 作品紹介 著者自身の名を冠する法月綸太郎シリーズの第3作目の作品で、シリーズ最高傑作と名高い作品である。 シリーズものではあるが、このシリーズの前の作品である「雪密室 」「誰彼 」を読まなくても楽しめるので、本作が気になった方は此処から読んでも問題ないと思う。 割と作品全体の空気感が重いので、ある程度の心の準備があったほうが良いかも、という側面もあり。 感想(少しネタバレあり) ストーリーに凝っているぶん、ラストシーンで明かされる事実が結構な破壊力がとんでもない。 事故が原因で体が不自由になった妻、事故の引き金となった人物を恨み続けて生きてきた夫、若くして殺害されてしまった娘。結局のところ、誰一人として相
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魍魎の匣(京極夏彦)感想

京極夏彦著『魍魎の匣』を読了。上中下巻併せて1000Pを超えるボリュームで語られる本作は、全体的に和風で妖しげな雰囲気を放っており、個人的にはかなり好みのテイストだった。 作品紹介 本作品「魍魎の匣」(もうりょうのはこ)は、京極夏彦の百鬼夜行シリーズの第2弾であり、第49回日本推理作家協会賞の受賞作品となっている。 メディアミックス作品が多い作品であり、映画化、アニメ化もしている人気作品だ。 シリーズの主人公が営む古本屋の屋号から、京極堂シリーズとも呼ばれているので、人によってはこっちの方が馴染みあるかも知れない。 感想(少しネタバレあり) 本作は、とにかくストーリーの運び方が絶妙だと思う。序盤は淡々と語られていき、ゆっくりと時間をかけて読者を作品に引き込んでゆく。 序盤で、特に印象に残ったのは、物語が始まる鍵となった二人の少女の心理描写が細かく描かれている点。同棲の友人に対する、憧れ、羨望、友人である事への喜び、誇り……少女の不安定な心の動きは、見ているだけで読者の不安を煽り、良くないことが起こる予兆を感じさせるものであったし、そうなれば自然と先が読み
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十角館の殺人(綾辻行人)感想

1987年に出版された綾辻行人氏の処女作。この「十角館の殺人」はミステリファンの中でも極めて人気であり、処女作ながら綾辻氏の代表的な作品となっている。 Anotherなどのメディアミックス作品もあるので、知っている人は多い作家の一人かと思う。 作品紹介 本作の舞台は、角島と呼ばれる無人島だ。とは言ってもつい半年前までは人が住んでおり、殺人事件が起きた事で無人となってしまったのである。 そんな事件が起こったことを知りつつ、興味本位でその無人島に建てられた「十角館」へ。大学生の推理小説研究会のメンバーが赴くところからストーリーが始まる。 クローズド・サークルが好きな人なら、ここまでで興味が湧くはず! 感想(少しネタバレあり) 読後の感想を一言で言うなら「面白い」。本当に面白かった。500pを超える長編でありながら、ある種長編のデメリットになりうる、まどろっこしさを全く感じさせない。 一週間という短期間の中で次々と起こっていく事件、会話のテンポの良さ、個性的で役割を持ったキャラクタが読者のページを捲る手を加速させていく。 無人島、館、とミステリの定番で
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最近流行ってるAIチャットって、どこまで業務利用できるの?

2022年の中頃からじわじわと話題になってきて、今では毎日のようにニュースになっているAIチャット。最近ではChatGTPが話題になったり、マイクロソフトの検索エンジンであるBingにAIチャットが導入されるとかで話題になったり、ついにGoogleもBardというAIチャットを発表したりと、まさに今年2023年は対話型AIの黎明期となりそうだ。 自分も流行りに乗ってCatchyとChatGTPを実際に触ってみたけど、噂通りしっかりこちらの問い合わせに対して回答してくれるし、文章もそこそこ違和感ない状態だし、かなり可能性を感じている。 で、この辺はどれもある程度無料で触れるので、実際に試してみた人も多いだろうし、自分と同じようにスゲーって思った人も多いと思う。 だけど、これを今の時点で有効活用できている人って果たしてどれだけいるのだろう。 あくまで自分の感覚でしかないけれど、正直なところ面白がって触る人は多いものの、本当にツールとして使いこなしている人は少ないように思う。少なくともエンジニアとして仕事をしている自分の周りですら誰ひとりいない。
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バイバイ、エンジェル(笠井潔)感想

笠井潔著『バイバイ、エンジェル』を読了。なんだか青春を感じる可愛らしい表題ではあるけれど、れっきとした推理小説だ。 作品紹介 割とキャッチーなタイトルではあるものの、実はけっこう昔の作品で1979に刊行された作品となっており、著者のデビュー作でもある。 刊行当時のパリが舞台となっている。パリおしゃれ。行ってみたい。 感想(少しネタバレあり) パリの資産家であるラスール家を中心に起きる殺人事件を、日本人留学生矢吹駆が紐解いていくのだが、この探偵役がなかなか面白い。 とにかくニヒルで捉えづらく、哲学的な台詞を並べまくる。説得力抜群の物言いで警察までも虜にしてしまう。魅力的なキャラクタだ。 この作品の見どころは、この矢吹の言葉一つ一つにあると自分は思っている。 物語の初めにおばさん姉妹の片割れが「首なし死体」となって発見され、ストーリーの重要ポイントになるのだが、この「首斬り」についての彼の解釈、また事件の解答が印象的であった。 首のない死体はミステリにおいてよく使われるネタで、大体は被害者のすり替えに理由があったりし、実際にこの作品においてもすり替え
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罪と罰(ドフトエフスキー)感想

ドストエフスキー著、工藤精一郎訳の『罪と罰』を読了。部屋の掃除してたら大学生の時に友人に貰ったものが発見されたので、久しぶりに読んでみた。上下巻で1000ページほどの作品で読むのに時間がかかってしまったが、遂に読破。流石に一日で読みきるのは無理だった。 一応ミステリーというカテゴライズはされていないような気なするので、トリックのとこは0点にしてしまったけど、考えさせられる、と言う部分においてはではミステリーと同じなんじゃないだろうか。 作品紹介 この作品を一言で紹介するならば「殺人を犯した青年が心身共に追い詰められていく、道徳的ジレンマを描いた作品」といったところだろう。 しかしながら、その一言では語れない魅力があるのが本書『罪と罰』だ。 感想(少しネタバレあり) ストーリーの中心にあるのが殺人を犯した男の苦しみであることに間違いはない。 だが、その男の唯一と言える友人とのストーリー、家族とのストーリー、ある女性とのストーリーと、主人公ラスコーリニコフと関わる人物についての描写も濃く描かれており、なんとも捉えづらい。 言い換えればそれだけ自由のある作
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そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティ)感想

“ミステリの女王”の異名を持つアガサ・クリスティの有名作、”そして誰もいなくなった”。 自分がどうこう言わんでも、超有名作品だし、最高クラスに評価されている作品ではある。タイトルが秀逸だよなあ、名作はここからして違うわ。 20年ぶりくらいに読んだけれど意外とストーリー覚えてたから、やっぱり面白い作品なんだと思う。 作品紹介 イギリスで1937年に生まれた本作。 アガサ・クリスティの作品は数あれど、その中で最も世界中で売れている作品となっている。もちろん評価も高く、この作品に影響を受けたと言われる作品はとても多い。 本作はインディアン島という孤島に集められた10人が童謡に見立てた連続殺人事件に巻き込まれていく、という代表的なクローズドサークルの作品となっている。孤島、館、童謡殺人とミステリファン垂涎のシチュエーション。 特にこのジャンルが好きな人なら必読だ。 感想(少しネタバレあり) 結論から言えば、名作の評価に違わず、この作品は何度読んでも面白かった。読み始めたら、最後のページを捲るまで本を閉じることが出来ないくらい。 この作品はとにかく心情
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