小説

奇面館の殺人(綾辻行人)感想

著者が前々から「館シリーズは十作で終わり」と語っているので、これが最終作の一つ前の作品となる。そんな九作目は前作「びっくり館~」、前々作「暗黒館~」ではあまり出番がなかった本作の探偵役である小説家鹿谷が久しぶりの活躍を見せることとなった。 取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784062930833] 作品紹介 やはり、このキャラクタが登場するしないで作品の印象がだいぶ変わるように思う。建築家・中村青司が各地に建てた奇妙な館、その館に魅了され数々の怪事件に関わってきたこの人なしでは「館シリーズ」は語れない。 見方によっては、シリーズのファンに一番近いのが、この男なのだから。さて、とりあえず内容紹介を見てみよう。例のごとく、Googleブックスから拝借。 奇面館主人・影山逸史が主催する奇妙な集い。招待された客人たちは全員、館に伝わる“鍵の掛かる仮面”で顔を隠さねばならないのだ。季節外れの大雪で館が孤立する中、“奇面の間”で勃発する血みどろの惨劇。発見
やまぐろ

蜃気楼の殺人(折原一)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784062751544] 作品紹介 叙述トリックを駆使した大どんでん返しのイメージが強く人によっては苦手に感じるであろう折原一の作品の中で、比較的作品に入りやすく書かれているのが、この「蜃気楼の殺人」だと思う。 あらすじについてはGoogleブックスの情報をそのまま載っけておきます。 銀婚式を迎えた野々村夫妻は、新婚旅行の想い出を辿るように、能登半島へと旅立った。だが夫は殺され、妻は行方をくらました。両親の足跡を追いかける娘の万里子は、25年前の二人が、もう一組の男女と接触していたことを知る。過去と現在とが錯綜する折原マジック。万里子が到達した、驚愕の真相とは。 https://books.google.co.jp/books/about/蜃気楼の殺人.html?id=uLV4AAAACAAJ&redir_esc=y 感想(少しネタバレあり) 私は「倒錯のロンド」など著者のらしさが全開に出ている作品
やまぐろ

暗黒館の殺人(綾辻行人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784062758550] 作品紹介 綾辻行人による長編シリーズ作品、通称「館シリーズ」の第七作目。シリーズで最もボリュームのある作品となっており、文庫本で購入するとなんと4冊に上る。 そんなわけでちょっと手を取りづらい部分もあるが、そんな一見冗長なページ数でも読者を退屈させないのが綾辻行人だ。私も読めるときに1日1冊づつ読み進めたけれど、全然面白く読むことができた。まあでもね、ちょっと重いっすねやっぱり。 あらすじについてはwikiをそのまま載っけておきます。 熊本県の山深くに、外界から隔絶された湖の小島に建つ浦登家の人々が住まう漆黒の館、暗黒館。大学生、中也は当主の息子・玄児に招かれる。そこで「ダリアの日」と呼ばれる奇妙な宴に参加するが、そこから殺人事件が続発していく。謎を追っていくうち、ダリアの宴の真実、恐るべき浦登家の秘密が明かされる…。 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/暗
やまぐろ

黒猫館の殺人(綾辻行人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784062777438] 作品紹介 綾辻行人による長編シリーズ作品、通称「館シリーズ」の第六作目が本作「黒猫館の殺人」だ。記念すべき第一作目の「十角館の殺人」が1987年9月刊行となっており、本作は1991年9月刊行なので、この時点で4年続いているシリーズとなる。冷静に考えると一年に1.5冊のペースで出ているのか。すげえ。長編シリーズなんだよなあ。。 あらすじについてはwikiをそのまま載っけておきます。 1990年6月、稀譚社の編集者である江南孝明のもとに一通の郵便物が届く。差出人は鮎田冬馬。内容は「鹿谷先生とお会いし、お話をお聞きしたい」というものだった。鮎田から電話がかかり、話を聞くと2月に滞在していたホテルが大火災に会い、その影響で記憶喪失になっているという。現在は自身が書いたと思われる手記に書かれた名前しか知らない。鮎田は去年の9月まで「黒猫館」という家の管理人をしていたらしい。そしてその黒猫館を設計したのが中村青
やまぐろ

プリズム(貫井徳郎)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784488425029] 作品紹介 1999年に刊行され、後に「このミステリーがすごい!」や「本格ミステリ・ベスト10」にてランクインしているのが、本作「プリズム」である。 貫井作品の特徴は、読者に驚きを提供してくれるのはもちろんのこと、人間味溢れる登場人物が作り出したストーリーが面白く、そして悲しく……と、とにかく読者に訴えかけてくることにあると私は思う。 本作もその例に漏れず人物が良く描かれており、各人物の感情に惹かれるはずだ。 感想(少しネタバレあり) この作品は4つの章で構成され、各章毎に異なる人物の目線で一つの事件を追っていくのだが、この各章における主人公というべきキャラクタたちの、事件への関わり方が実にいい。率直な印象として、どの人物も自分自身を第一に動いていると私は感じた。 事件が解決しようがしまいが関係ない、自分の知りたかったことだけ知ることができれば、自分の心が軽くなれば、という気
やまぐろ

時計館の殺人(綾辻行人)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784062772945] 作品紹介 綾辻行人の館シリーズの5作目となる本作。 作品の舞台である「時計館」は、その名の通り数多くの高級時計と不思議な時計塔が置かれる奇妙な館だ。ある雑誌のオカルト企画という体で、出版社の人間と学生サークルの数名がこの時計館で過ごすこととなり、事件の幕が開ける。 感想(少しネタバレあり) 正直な所、館シリーズは総じて面白いのだが、シリーズを通して処女作『十角館の殺人』を超える作品はこれまでは無かったと個人的には思っていた。 が、今作は遂に処女作を超えたと思わせる作品であった。館シリーズはこれから「黒猫館~」「暗黒館~」と続くわけだか、5作目までの作品では『時計館の殺人』が一番面白いしと感じたし、良く練られている作品であると思う。 どの作品を評価するかは人によるだろうが、少なくともスケールの大きさではナンバーワンであろう。 600ページ超という著者のこれまでの作品
やまぐろ

倒錯のロンド(折原一)感想

取っ付きやすさ: トリック: ストーリー: [show_book_information isbn=9784065219652] 作品紹介 めちゃめちゃ長いこと作家をやっており、「叙述トリックの名手」と謳われる折原一の代表作。 このジャンルのプロの傑作である、という点だけで紹介は充分だろう。 感想(少しネタバレあり) 折原一の作品らしい、どこかおどろおどろしくねっとりとした暗い作風は代表作である「倒錯のロンド」も変わらず。 作品にどれだけ熱中できるかを決めるポイントは色々あると思うが、この作品においては、メインの視点となる男の怒りと執念にあるだろう。男が怒る理由はきっと誰にだって理解できるほどシンプルなものであるため、読者が感情移入し易くなっているのもミソだと思う。 そうして読者を引き込んだ先にある最大の見所は、なんと言ってもクライマックス。認識していた事実がことごとく「倒錯」していく衝撃は、思わず思考を停止してしまう程強烈だ。 そこまで分厚い小説ではないので、休日で一気にラストまで読むのが良し!
やまぐろ