奇面館の殺人(綾辻行人)感想

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著者が前々から「館シリーズは十作で終わり」と語っているので、これが最終作の一つ前の作品となる。そんな九作目は前作「びっくり館~」、前々作「暗黒館~」ではあまり出番がなかった本作の探偵役である小説家鹿谷が久しぶりの活躍を見せることとなった。

取っ付きやすさ:
トリック:
ストーリー:

書籍情報

           
タイトル奇面館の殺人(上)
著者綾辻 行人
出版社講談社
発売日2015年04月15日頃
商品説明季節外れの吹雪で孤立した館、奇面館。主人影山逸史に招かれた六人の客はそれぞれの仮面を被らされた。前代未聞の異様な状況下で、事件は進展する。主人の〈奇面の間〉に転がっていたのは、頭部と両手の指を切り落とされた凄惨な死体。六人の仮面には鍵がかけられていた。名探偵・鹿谷門実の圧巻の推理が始まる! プロローグ 第一章  四月の吹雪 第二章  六人の招待客 第三章  未来の仮面 第四章  奇面の集い 第五章  二重身の刻 第六章  眠りの罠 第七章  惨劇 第八章  閉ざされた仮面 第九章  同一性の問題
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目次

作品紹介

やはり、このキャラクタが登場するしないで作品の印象がだいぶ変わるように思う。建築家・中村青司が各地に建てた奇妙な館、その館に魅了され数々の怪事件に関わってきたこの人なしでは「館シリーズ」は語れない。

見方によっては、シリーズのファンに一番近いのが、この男なのだから。さて、とりあえず内容紹介を見てみよう。例のごとく、Googleブックスから拝借。

奇面館主人・影山逸史が主催する奇妙な集い。招待された客人たちは全員、館に伝わる“鍵の掛かる仮面”で顔を隠さねばならないのだ。季節外れの大雪で館が孤立する中、“奇面の間”で勃発する血みどろの惨劇。発見された死体からは何故か、頭部と両手の指が消えていた!大人気「館」シリーズ、待望の最新作。

https://books.google.co.jp/books/about/奇面館の殺人.html?id=O-pCrgEACAAJ&redir_esc=y

もう分かるとおり、ベタベタなクローズド・サークル。通信手段なし、移動手段なしの孤立無援状態だ。そして何より特徴的なのは、登場人物たちに着用を義務付けられている仮面。十人ほどの人間が、それぞれ仮面を被って会話したりしている図を想像してみるとなかなかにシュールである。

まあそれは置いておいて、ここで重要なのは仮面を被ることで互いの素顔を認識できない点だ。顔が隠されることで、いろいろ勘ぐっちゃう訳である。奇妙なモチーフの洋館、閉じ込められ通信手段はなし、相手の素顔が見られない状況で起きた殺人事件。”いかにも”な物語の幕が開ける。

感想(少しネタバレあり)

素顔が分からないという特異な状況を活かしたストーリー展開、推理の広がりは読み応えがあり、シリーズおなじみの”からくり”も健在。

過去作と比べるとインパクトが弱かったようには思うものの、このジャンルのファンであれば充分に面白く読めるはず。しかしながら、シリーズ完結の一つ前の作品にしては、なんとなくあっさりしているというか、次で本当に終わるのかという疑問も残った部分もあった。

二つ前の「暗黒館~」は謎解きに関しては物足りなさを感じたが、シリーズにおいて重要な意味を持つ作品であったことを思い返すと、やっぱり薄さを感じずにはいられないか。。

まあシリーズものである故に、どうしても名作揃いなシリーズの作品群と比較してしまいがちだが、本格派好きな人には面白く読める作品だと思う。

10作目の「双子館の殺人」は現在メフィストで連載中。完成を楽しみに待ちたいと思う。

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やまぐろ
システムエンジニア
SESで業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。
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たまにエンジニアっぽい記事を書いたりすることも。
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