なぜSESは辞めとけと言われるのか

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SES(System Engineering Service)業界は、エンジニアリングサービスを提供する業界であり、多くの人、特にIT未経験者にとっては魅力的なキャリアパスと見える一方で、「やめとけ」という否定的な声も聞かれる。

その背景には、業界特有の高いプレッシャーや長時間労働(今は残業規制がかかることの方が多いが、それでも状況によっては稼働が上がることはある)、プロジェクトの変動性が挙げられるだろう。

また、SES企業による待遇やキャリアパスの不透明さも一因だ。

この記事では、SESで10年以上現場に出続けている自分が、SES業界に対する理解を深めつつ、SESで生き残る術を解説していこうと思う。

目次

SESとは?業界の基礎知識

そもそもSESとは何ぞやという方に向けて、基礎知識的な部分を解説。

SESの定義

SES(システムエンジニアリングサービス)は、技術的な専門知識を持つエンジニアやコンサルタントが顧客のプロジェクトに参画し、システムの開発、導入、保守などを支援するサービス業界となる。こんな説明をすると聞こえがいいが、実態はエンジニアを顧客へ売りさばくことで収益を上げる業態となる。基本的は付き合いが長い上流企業がいくつかあって、その取引先が持つ案件に、SES企業側の人材を何人か入れる形で成り立っている。

SES業界のビジネスモデルとは

顧客からのプロジェクト依頼に応じてエンジニアやコンサルタントを派遣し、プロジェクトの開発、運用、保守などを支援することで対価として報酬を得る。これはだいたいの場合「人月単価」と呼ばれ、例えば70万/月と言ったような形で契約することになる。

商流(1次請け→2次請け→…)と呼ばれる階層構造になっており、下に行く事に中抜きの金額が金額が多くなり、その分単価が下がっていき、その分給料も渋くなっていく。3次請けくらいに位置する企業は、SESを中心として活動していることが多い。

実際のお金のイメージは以下のような形だ。

例)3次受けで業務にあたる場合

1次受け(100万)→2次受け(80万)→3次受け(70万)

このケースだと、2次受けが20万抜いており、3次受けが10万を抜いている。なので、3次受けの会社から見た単価は70万になる。うーん、世知辛い。

なお、月によって稼働の下限と上限(140h~180hとか)が決められているケースがほとんどで、近年はこのラインから外れるといろいろ面倒なことになる。下限はもちろん、昔より上限にも厳しいので、不要な残業はなるべく避けなければならない。昔一定数存在していた生活残業マンは、今はもう許されないと思っていい。

客先常駐の実態と業務内容

客先常駐は、プロジェクトの性質に応じてエンジニアが顧客のオフィスや現場に常駐することを指す。近年では在宅化も進んでいるが、これも広義では客先常駐として扱われる。 役割はリーダーでなくメンバーになる事が多く、ただ指示通りに動くことを求められる場合もあるが、この辺りは現場の裁量だったり、本人のスキルに左右される。

経験があれば取りまとめや推進を行うことになるし、新人であればテスターなどが主な業務内容になる。なので、比較的普通のエンジニアのキャリアパスと変わらない、という見方で良いだろう。 顧客のビジネスや技術環境にも深く理解を深めることができるので、新しいものを見るにはいい。世間の色々なサービスの裏側を見れるのは、エンジニアならではだ。

また、自分が入社した十数年前と比べたら、比較的働きやすくはなっているし、縦社会ならではの閉塞感も薄れてきてはいる。 もっとも、現場ガチャというものはまだ存在するし、採用ガチャってのもある。SESでエンジニアを採る側も、採られる側も、一定のリスクはある事は頭に入れておきたい。

因みに、勤務中にお寝んねしちゃタイプの人が一定数いるが、こういう人は結構現場では厳しい評価がされることが多い。昼に炭水化物を取らないなどの対策は必要だ。

「SESやめとけ」と言われる主な理由

SES業界で「やめとけ」と言われる主な理由にはいくつかの要因がある。

まず第一に、長時間労働のイメージが挙げられる。多くのSESエンジニアはプロジェクトの締め切りや顧客の要求に応じて残業が常態化し、ワークライフバランスが損なわれることがある。これについては近年大幅に改善されてきており、むしろ残業してはならない風潮もできつつあるが、それでも納期の前は多少稼働が上がるのは避けられない。だが、昔のように常態化するケースは減ってきており、せいぜい1か月間多少キツイ思いをする程度ではある。自分も過去に月350h労働が常態化したことがあったが、その時以降、稼働が月200hを超えることすら殆どなくなっている。なので、長時間労働に関しては、やっぱり改善傾向にあると思っていい。

また、SES企業ではキャリアパスが明確でなく、スキルや経験に応じた適切なキャリア成長が見込めない場合が多々ある。営業の言われるがままに現場に入り続けた結果、たいしたスキルアップをしないままオジサンになってしまったような人はゴロゴロいる。「お前は今まで何をやってきたんだ」と不思議に思うような人間は、正直どこにでもいる。 さらに、一部のSES企業では比較的低い賃金水準が問題視されている。同じIT企業として技術的な専門知識を要するにもかかわらず、他の技術系業界に比べて報酬が見合わないこともしばしば発生する。

この辺はSES企業によって大きく変わり、エンジニア本人への還元率が高いところもあれば、信じられないくらい低いケースもある。それでも一般的には高い水準にはなると思うが、自分の単価を知ってしまうと、自分の勤めている会社に不信感を覚えることもあるはずだ。

給料問題についてはSESから他企業に転職する大きな要因の一つになっており、ハイレベルなスキルを持つエンジニアがSESから上流の企業へ流れることも珍しくない。なんならこれが、SESエンジニアの昇進ルートみたいな節もある。 さらに、顧客の現場に常駐することで、企業文化や仕事の内容が一定でないこともストレスの原因となり得る。プロジェクトの性質や顧客の要求によって、環境が大きく異なり、それに対応する能力も求められるわけだ。変化が苦手な人にとってはこの辺は苦しく感じてしまうだろう。また、毎回人間関係を再構築しなければならないため、そこに疲れてしまうケースもある。色々な事ができるという点が、メリットもデメリットともなってしまう業界であるということだ。

長時間労働とワークライフバランスの問題

SES業界では、プロジェクトの締め切りや顧客の要求に応じて、ちょくちょく長時間労働を強いられるケースがある。その結果、ワークライフバランスが損なわれて、家族や趣味、健康管理の時間が削られ、心身の健康に影響を与えることもある。実際にメンタル面で仕事に来れなくなってしまう人は一定数いるし、そうでなくても辛そうに仕事をしている人もいる。もっともこれは、SES界隈と言うよりは、IT企業全体の課題ではあるが。マシになったとは思うけど、まあそれでもね。。たまに起きちゃうよね。

キャリアパスの不透明性

SES業界では、キャリアパスの不透明さが一つの課題とされている。多くのSES企業では、技術的なスキルや経験に基づく昇進基準が不透明であり、エンジニアが将来的にどのようなキャリアパスを歩むことができるのかが明確ではない。これにより、モチベーションの低下やスキルの停滞が生じる可能性がある。また、客先常駐という採用側依存の安定性にかける働き方であるため、長期的なキャリアプランニングが困難であり、エンジニア自身が自己成長を促進するための方針を見出すことも難しくなる場合がある。

各企業が評価制度やエンジニア面談などを推進しているが、これがうまくハマっているケースは、話を聞く限りどこにもない。もちろん自分の勤めている企業でも、この辺が課題であり、これが帰属意識の低下を招いているのは明らかである。

SES内でのスキルアップの難しさ

SES業界におけるスキルアップの難しさは、いくつかの要因により生じる。一つは、プロジェクトが顧客依存型であり、特定の技術スタックや業界に特化したスキルしか身につかないことだ。例えば自分の周りにも、入社5年でずっとテスターしかやってこなかった人がいたり、逆にほぼ開発には携わらず運用管理に充てられる人がいたりしている。そうきった人はスキルが偏ってしまうので、方向転換しようとした際に、少し苦しい思いをしてしまうこともある。

また、SES企業の多くがプロジェクトベースの雇用形態であり、長期的なスキル開発やトレーニングに重点を置いていないことも要因となる。

さらにSES業界のキャリアパスが不透明であることも影響しており、このような環境下で、エンジニアが持続的なスキルアップを実現するためには、自己学習や外部のトレーニングに依存することが多く、業務時間外の取り組みが必要となってしまう。

スキルアップするには、基本的には自分でどうにかするしかないため、自己管理が苦手な人は長期間働いたのにも関わらず、あまりスキルが身についていない、という状態になってしまう訳だ。

低賃金と待遇面の問題点

SES業界における待遇面の問題点の一つに、低賃金が挙げられる。前述で商流が下がれば給料が下がるという話をしたが、多くのSESエンジニアは高度な技術スキルを要求されながらも、他の技術系業界に比べて報酬が低いと感じているはずだ。例えば、同じ技術スキルを持つエンジニアがSES企業と直接雇用の企業で働く場合、後者の方が平均的に高い給与水準になる。同じくらいの年次、スキルであっても、年収にして100万くらいは当たり前に差が生まれる。 また、正直に言ってしまうと、上流企業に勤めている人間とSES企業に勤めている人間では、現場での扱いも結構変わる。現場では雇い主の企業(上流企業の社員、プロパともいう)までにしか伝わってない話もあるし、一部見えづらいタスクなんかもある。まあこの辺りは、役割が違うと割り切った方が良いのかも知れない。人によっては疎外感を覚えることがあるだろう。

SESの闇と言われる部分を徹底解説

前述したとおり、SES業界には労働環境や契約の不明確さなど、多くの問題点が存在する。まず労働環境では、長時間労働がしばしば発生し、残業も減ってきてはいるものの、まだまだ常態化している、と言える水準にはなっている。特にプロジェクトの締め切りに追われる状況では、エンジニアが過重労働に晒されることがある。さらに、SES企業の契約形態はプロジェクトごとに異なり、安定した雇用条件や福利厚生が不透明な場合がある。

企業側は基本的には現場に介入してこないと思ったほうがいい。このため、休暇などは自分で調整しなければならない事が多く、何か問題がある場合も、基本的には自分から会社側へリクエストを投げなければならない。また、契約期間というものが定められているので、エンジニアはプロジェクト終了後に次の仕事が見つからない不安を抱えることもある。 さらに、SES業界では報酬の不均衡も問題視される。同じプロジェクトに参加するエンジニアでも、役割や経験に応じて給与に大きな差が生じることがあり、公平性が欠ける場合がある。一部のSES企業では顧客との契約条件が厳しく、エンジニアがプロジェクトにおける責任を負う一方で、契約上の権利や保護が不足しているケースもあるだろう。

闇、というのもアレだが、働く上で考慮しなければならないことは、ぱっと思い浮かんだ事だけでも、かなりある印象だ。

現場の厳しい人間関係と孤立

SES業界では、プロジェクトごとに異なるチームや顧客との関係が、エンジニアの孤立感を引き起こすことがある。特定のプロジェクトで長期間働く場合、チームメンバーとのコミュニケーション不足や、顧客との間に生じる距離感が孤独感を深めることがよくある。この問題に対処するためには、積極的にコミュニケーションを取り、コミュニケーションが苦手な人を孤立させない動きが必要となる。

責任の所在

SES企業や顧客との間で責任分担に関する問題が発生することがある。基本的には顧客の要求レベルにエンジニアが応えられなかったケースがほとんどではあるが、場合によっては顧客側に問題があるケースもある。どんな企業にも一定数様子がおかしい人間はいるし、こういった場合に、営業同士で争いが生まれるのも過去に目にしたことがある。

エンジニアはなるべくこういったトラブルを避けるべく、顧客の期待に応える責任を負いつつ、自身のスキルや判断に基づいたリスク管理が求められる。

できないことはさっさとできないと言ったほうが、みんな幸せになる。どうせ、顧客側にも光る能力がある人材なんて一部にしかいないわけだし、言ってしまった方が良い。

労働環境の不安定さと契約の不明確さ

SES業界では、労働環境の不安定さと契約の不明確さが深刻な問題とされる。多くのSESエンジニアはプロジェクトベースの雇用形態であり、プロジェクト終了後の次の仕事や雇用の見通しが不透明だ。しかも、本来窓口となっている営業からも、あまり契約について言及されない場合が多い。これにより、安定した収入やキャリアの安定性が欠如する可能性が生まれる。また、SES企業と顧客との契約はプロジェクトごとに異なるので、自社のルールなんてものは殆ど適用されないものと思った方がいい。もちろんではあるが、取引先がわざわざSES企業で働く人間のキャリアパスになんか介入して来ないし、契約終了後にどうなろうが構わないわけだ。 例えば、長期のプロジェクトが突然終了することで、エンジニアは急に職場を失うことがある。ただこういうケースがあったところで、取引先としては自分の会社のメンバを優先して仕事を探すし、SES企業側のことは二の次になる。これは企業として当たり前の事だし、SES企業側としても仕方のないところではある。ただ、こうなってしまうとSES企業で働くエンジニアが将来の計画を立てにくい状況に追い込まれることになってしまう。 このような不安定な労働環境と契約の不明確さが、エンジニアのストレスやモチベーション低下を招く原因となりえる。

もちろん会社にもよるだろうが、SES企業で働く社員は上記のような悩みを抱えている人が多いだろう。

SESで働くメリットとは?

ここまでネガティブよりな話が多かったので、そろそろメリットの部分に移ろうと思う。

SESで働くメリットは多岐に渡る。様々なプロジェクトに参加することで、幅広い業界や技術に触れるチャンスがある。これにより、柔軟なキャリアパスを形成し、自身の専門性を深めることができるだろう。

また、新しい技術やツールを習得する機会も豊富であり、向き合い方次第ではあるが、ITスキルの向上が期待できるはずだ。さらに、SES企業はさまざまな顧客との取引を通じてコミュニケーションが取れるので、同じ業界を通じてネットワークが広がるだろう。現に自分もこの10年間でかなり多くの人と働いてきたし、現場が分かれた後も定期的に交流していたりする。思ったより人間関係がドライではないのは、自分が運が良かっただけなのかも知れないが、まあこういった例もある。

いろいろな立場の、いろいろな人間を見ることができるので、スキル的にも、生き方的にも参考になる人と出会えるのは大きなメリットだと思っている。

多様なプロジェクト経験の可能性

SES業界では、多様なプロジェクトに参加することが可能である。異なる業種や技術領域のプロジェクトに携わることで、幅広い経験を積むことができるというのはメリットだ。例えば、金融、製造、医療などさまざまな業界のプロジェクトに参加し、それぞれの業界特有の課題や技術を理解する機会があるし、このような多様な経験は、エンジニア以外の選択肢を探す際にも有用な指標となる。また、新しい技術やツールの習得、異なるチームや顧客との協力、問題解決能力の向上など、さまざまなスキルが身につく。これにより、将来的にはより高度な専門性を持ち、柔軟なキャリアパスを築くことが可能となるはずだ。

因みに自分はどちらかというと「この仕事はしたくない!」と思うことのほうが多いかも知れない。いい部分も、悪い部分も見えてしまうからしょうがないね。

ITスキルの向上とキャリア形成

SES業界では、多様なプロジェクトに参加することで、幅広いITスキルを磨く機会がある。例えば、異なる技術スタックや開発手法を学ぶことができる。また、顧客のニーズに応じたシステムを提供する経験が、問題解決能力やコミュニケーションスキルを向上させることもある。場合によっては、大手でしかできないような経験をSESエンジニアでも経験することができるし、そういった意味では、面白い経験ができるんじゃないかと思っている。

緊急時だからって日付を跨いだ後に連絡してくるのは、さすがにちょっと辞めてほしいが、まあこれも信頼関係がないとできないことか。この手のトラブル対応に巻き込まれた際のムーブも、結構大手ならではで面白かったりもする。特にエスカレーション周りの面倒さは、さすが大手って感じだ。(決してディスってるわけではない)

SES業界の優良企業を見分けるポイント

SES業界の優良企業を見分けるためには、正直なところエンジニアの知り合いに聞くとか、会社の評判口コミを見る、とかが一番信頼性が高いと思っている。特に現役のエンジニアであれば、あの会社は給料が高いとか、あの会社は社内のコミュニケーションがしっかりしているとか、そういう情報は持っている。口コミに関してはネガティブな情報の方が多いイメージがあるが、嘘はついていないと思うので、多少参考にはなるはずだ。

正直なところ、企業のホームページを見ただけではどの会社もそんなに変わらない。唯一個人的に判断材料としていいのは、ホームページの更新頻度だと思っている。発信する情報がない企業は、そもそも停滞してしまっているわけだし、場合によってはホームページの運用担当もいなかったりする。頻繁に更新されているのであれば、ある程度企業活動を真剣に行っているとみていいだろう。取引先とかはだいたい似たような感じだし、聞いたり入ったりしてみないと正直分からん。

SESで働いたからこそ分かること

もちろんではあるが、実体験から学んだSES業界の実情は、メリットとデメリットが共存する。例えば、多様なプロジェクト経験を通じて、幅広い技術スキルを磨ける点は大きな魅力ではあるものの、プロジェクトの不安定さにはやっぱり課題を感じている部分があるし、将来的にスキルを活かす場所がなくなるのではないかって思う時もある。

現役SESエンジニアの所感

自分はSES企業への入社時点で25歳、業界未経験の文系とかなり向かい風な状態で足を踏み入れてしまったのだが、正直なところ、周りとのスキル差を感じたのは最初の1年間くらいだけで、それ以降は特に周りとのギャップを感じずに仕事ができている。

なので、まず未経験にITはできないとは思わなくて良いと思っている。多少スタート時に周りより勉強が必要になるが、一度軌道に乗ってしまえば、なんてことなく対応できるはずだ。

また、現場によって働き方が大きく異なる、というのは間違いなく存在する。正確に言うと、現場というより、取引先と言った方がいいだろうか。自分は管理されるのがあまり得意な方ではないので、細かく管理するタイプの企業に付いてしまうと、やる気がなくなってしまうが、今は結構自由にできているので、なんの不満もなく仕事ができていたりする。

自分にはどんな働き方が向いてるのか、は正直なところいくつか現場を経験してみないとわからない部分があるので、数年間やってみての判断にはなるが、逆に言えば数年間耐えることができれば、ある程度自分のやりたい方向に進むことはできると思ってる。

とはいえ、この辺は各企業の風土もあるし、自分の意見が上長に届かないケースもある。幸いなのか何なのか、現在勤めている会社は自分に対してあまり縛りを入れてこないが、ほかの企業を見ていると、上長の言うことは絶対、みたいな文化もあったりする。SES企業の色を知るには、やっぱり現役の民に聞くのが一番早いんだろう。

悪い部分として、やっぱりこの先が見えづらいって部分があるのは間違いない。自社で案件を受けているわけではないので、どうしても自分の仕事が取引先に依存してしまう。今の年齢であれば問題はないと思っているが、これが50代とかになってくると、その年齢の人間をわざわざ高い金を払って採用するのか、という疑問も残る。よくあるキャリアパスであれば、この課長職やら。営業転身とかがあるが、今のところそれをやりたいわけでもない。残れば残るだけ、SES企業内での自分のポジションは悪い方向に流れていく気もする。

今のところ前向きではあるが、今後のことを考えると、まあやっぱり大手と比べると不安定なんだろうなっていうのはどうしても感じてしまうところだ。

個人ができるSESで起きえる問題への対応策

とりあえず給料を上げたいのであれば、自分の単価を抑えておくのはマストだろう。単価が分かっているのであれば、給料交渉がしやすいし、何より単価こそが顧客からの評価である。これ以上に分かりやすい評価はないので、交渉材料として必ず抑えておきたい。

人間関係を再構築したくないのであれば、業務中になるべく手を抜かず、コミュニケーションをしっかりとるようにすること。結局雇う側も人なわけだし、こいつ良いやつだなって思われれば、次もきっと契約してくれるはずだ。因みに自分も8年近くずっと同じ顧客と仕事している。それまでの数年は毎回顧客が違ったので、仕事も人間も初めましてで、まさに派遣みたいな感じだったが、今は移動してもだいたい知ってる人がいるし、だいぶ気持ち的に楽ではある。SESで長く働きたいのであれば、顧客との付き合いは最重要事項だと思っている。

最後にスキル的な部分になるが、付き合う先が大手であるほど、開発に関してはレガシーになりやすい傾向にある。ただ、レガシーなもの=基本的なもの、安定しているもの、というとらえ方も出来るので、経験が少ない若手にとってはこれでいいのではないかって思っている。ある程度の年次なると、どこにいっても何となく近しい構成だなっと思ったりもするが、細かい部分で使うツールが違っていたり、より効率が良い方法が確立してたりと、意外と思ったより退屈はしない。最近だと大手もオンプレからクラウドにサーバーが変わってきたりしており、以前と比べたら新しいものが採用される傾向があるので、なんだかんだ新しい技術に触れることはできるだろう。まあ、スタートアップとかに比べたら、流石に遅れてるかなとは思うが。。ガチガチに技術屋やりたい!って人でなければ、十分満足できる環境であるだろう。うん、個人的にはあまり問題に思ってないみたいだ。

総括:SESで働くべきか、やめとくべきか

ここでようやく本題。SESって結局良いの?悪いの?ってとこなんだけど、そりゃあまあ良くはない。それはそう。ネットで「やめとけ」って言われてるのは理由があるからなんだ。とはいえ、一応私見を書いておかないとアレなのでほんの少し書いて終わりにしたいと思う。

やめとけって声が気になるのであれば、やめといた方がいい

結論こうなってしまうが、SESの悪い部分が気になってしまうのであれば、辞めておいた方がいい。エンジニアとしてのスキルももちろん、コミュニケーション能力、強靭なメンタルがないと長いこと働くのは無理な業態であるのは間違いない。新人の頃からソロで現場に出されても何とも思わない自分のような人間であれば、何とかやっていけるんじゃないかと思う。スキルは多少勉強すれば後からついてくるからね。

フッ軽には向いているかも知れない

やったことないけど、試しにやってみるかー、合わなかったら辞めればいいやーって考え方ができる人には、SESは結構向いている気がする。大手と比べて辞めるハードルが圧倒的に低いし、会社側もそんなに引き止めたりしない。経験積んでさっさと良い会社に転職しようかなーというのにもSESは結構使えると思う。結局未経験採用がとっても多いのがSESなので、その中だったらメンタルが強いやつが残っていくのは自然。とりあえずITをやってみたいのであれば、SESを足掛かりにするのはアリだと思っている。

最後に

締め方分かんなくなったので適当に締めようと思う。

元も子もないけど、請負いやってるとこも、SES企業もたぶんそんなに内情は変わらん。待遇と面倒くささが違うだけで。

待遇とか安定性を求めるなら大手に行けばいいし、面倒くらいルールとか儀式が嫌ならSESの方が楽。

義務教育と相性が悪かった人はSESの方がいいよ。クズみたいなやついっぱいて居心地いいから。

やまぐろ
システムエンジニア
SESで業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。
当サイトでは読書記録を残したり、ガジェットのレビューをしたりしています。
たまにエンジニアっぽい記事を書いたりすることも。
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