ロートレック荘事件(筒井康隆)感想

取っ付きやすさ:
トリック:
ストーリー:

作品紹介

ロートレック荘事件は、「時をかける少女」で有名な筒井康隆氏のミステリ作品だ。元々SF作家として有名であり、ミステリ畑では多くの作品を書いている訳ではないものの、多くの人が本作「ロートレック荘事件」を秀逸なミステリとして評価していたりする。

面白い作品を作れる人はどんなジャンルでもいけてしまうのか!?

[show_book_information isbn=9784101171333]

感想(少しネタバレあり)

事故で体が成長しなくなった(下半身が不自由になった)男と、その原因となった男。加害者となってしまった男は、自分の過ちが奪った、友人の「支え」となる決心をし、現在まで交流が続いている、と言う。

その回想後、二人と共通の友人である工藤は、事件の舞台となるロートレック荘に出向くことになる。

……と軽くストーリーの概要を書いたものの、上記の解釈はこの作品を楽しむ上では間違っている。

プロローグ、次章を読んだ時点で、概要を自分の中でまとめて、上記のようになったらのであれば、その人はこの作品を心から楽しむ事は出来ないのかも知れない。

まあそれはさておき、この作品の本当の見どころは、男二人の友情、綻び、そして悲劇にある。

プロローグから見て分かるとおり、一生を捧げて友を支え続ける男と、友が原因で体が不自由になっているのに、恨むこと無く友人であり続ける男。しかも、そうなったのは10年以上も前。

物語が始まるときにはお互いが、お互いの最大の理解者であることだろう。

だが、お互いの強い依存が、ほんの小さな綻びを広げ、結果として悲しい結末を生んでしまう。

そう、この物語のトリックはどう考えても成立しない。

足が不自由になった男、浜口重樹が車で遠出するのに、友を一生不自由にさせた、いや、自由を捧げ続けようとした男、浜口修が同行しない筈はないのだ。

そう考えると、このトリックは最高に面白い。最後まで読み、見事に騙され、悔しくなって読み返す。そうすると、プロローグで答えが出ている。ラストまで読んだなら尚更だ。

ああ、最初から騙されていたんだなあ、と。

なんか話がまとまらないが、やっぱり売れっ子作家はすごい。この作品もやっぱりすごい。以上!